ログマニアックス

日々学んだこと、気づいたことをメモ代わりに残していければ。カバー範囲は割と広めです。

即断即決をクレイジーに

アンディグローブが亡くなったという事で例の本を読みかえしました。

インテル戦略転換

インテル戦略転換

この本は邦題が良くないと思うけど、原題は、Only the Paranoid Survive、偏執狂だけが生きのこる、というタイトル。
多分偏執狂というのはマイルドな訳でニュアンスは、『基地の外』。なかなかアバンギャルドなタイトルですね。

アンディグローブって誰?

インテルの3番目の社員で伝説的な経営者ですが、まさに波乱万丈な人生。
ハンガリーブダペストユダヤ中産階級の家庭に生まれる。第二次世界大戦中にはナチスによるユダヤ人迫害を逃れるため、母親共々偽名を名乗りユダヤ人であることを隠していた。
ハンガリー動乱 ("1956年革命") の最中、家族を残しながら友人数人と共にオーストリアに脱出し、その後難民支援組織の手によりアメリカに移民。1957年、ニューヨーク市に辿り着き、親戚の下に身を寄せる。
という命がけでアメリカににげてきたユダヤ人の1人。そんな彼がインテルをCPUの会社に変え、いわゆるウィンテルと呼ばれるPC業界のヘゲモニーを作り上げました。

で、この本ってどんな本?

インテルで彼が経験した経営の危機とそれに対するアプローチを中心に、他社の事例と併せてまとめ、スタンフォードで行ったMBA講義での経験をふまえて整理しています。
ぶっちゃけ、すでに古典中の古典と言えるかもしれません。インターネット登場以前のパラダイムですし、ムーアの法則も崩壊している今となっては、インテル自体もかつての輝きを失っているかもしれません。
ただ、それでもこの本が今もなお魅力的なのは、人間アンディの苦悩と、それに対する創意工夫が戦略の中に生きた人間のものとしてみえるからかもしれません。
ちなみに現在、アマゾンでも絶版本のため、中古で今2万円近くまで値上げしています。
リアルに渡せる人で、読みたいという人にはかします。

企業をとりまく6つの力

アンディはポーターの5フォース分析を軸にして、新しい6番目の力が企業の競争状態を決定しているとしています。
そもそも5フォース分析は、
「供給企業の交渉力」「買い手の交渉力」「競争企業間の敵対関係」という3つの内的要因と、「新規参入業者の脅威」「代替品の脅威」の2つの外的要因、計5つの要因から業界全体の魅力度を測る。
というフレームですが、これに補完関係を持つ企業という概念を導入してます。
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言ってしまうと、日本的には『ケイレツ』と呼ばれるような、あるいはアライアンス的なつながりを持つ組織との距離から受ける力になります。

突然訪れる「10 ×」の力と戦略転換点

そして、外部環境の変化により、この力の1つが急激に大きくなることがあります。
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これがこの本でとく「戦略転換点」になります。そして経営者の立場からは今自分がそのポイントにたっているかは非常にわかりにくいとしています。
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具体的なこの転換点の例は上の通りです。通過した後に始めて気がつくような事が多いのかもしれません。

シグナル、ノイズ、そしてカオス

この転換点を生みだす事象とそう見えるがなにも影響をもたない事象を見わける事は難しい、とアンディは説きます。そのため、気がついた時にいかに高速に走り、相手を振り切るかどうかが重要で、これがパラノイア足る所以です。
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この本はイノベーションのジレンマよりも古いと思いますが、まさにこのジレンマにぶつかりながらカオスを率いる事が経営者には求められているのでしょう。

まとめ:兵は拙速を尊ぶ

ある意味で経営者の苦脳がわかりますし、良い意味での割り切りの良さを感じるのがこの本ですね。
スティーブジョブズや後の世代の起業家たちがこぞってメンターとしたアンディの考えは、今でもシリコンバレーに生きている気がします。
いずれもおなじ流れをひいている考えですね。
走り続ける、しかも脳みそをフル回転させて。
自分自身の働き方にも刺激を受ける良い本でした。